いくつもの週末と本
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『乱鴉の島』~孤島ミステリ それ以上でも以下でもなく~
期待が大きすぎた分、若干はずれた感が否めない。
ただ私が有栖川有栖に求めるハードルがかなり高いので、どうしても点が辛くなる部分はあるだろう。
悪くはないが、どこかいいかと言われると困る。印象が薄く地味。
島にある民宿へのんびり旅行としゃれこんだつもりの火村とアリスだったが、ちょっとした手違いで別の島へと船はたどり着く。迎えの船はすぐには来ず、それまで滞在させてもらうことに。
そこはある有名な老作家とそれを囲むファンクラブのような人々の集まり。だがその挙動に不審なものを感じる火村とアリス。どうやら自分達は招かれざる客のようだ。そこに更に闖入者があらわれて・・・。
事件が起こるまでの時間が長く、孤島にいる面々は何かを隠しているのだということはわかるが、それが何か見えてこないことに不気味さを感じる。
キーワードから彼らはある実験を行おうとしているとは読み取れるのだが、それにしてはやり方が生ぬるく、え?そんな悠長なことでいいの?と思ってしまった。
ただ有栖川有栖は人物を描写するのがやはりうまいと感じた。特にそれほど個性的でない、いわゆる普通の人の輪郭をきちんと際立たせることに長けている。そのため最初はだだっと紹介されただけの登場人物が、話を読み進めるうちにするりと頭に入ってくるのだ。
火村とアリスの会話もよく、なんとなく感じる居心地の悪さと彼らとの距離感もよくわかる。
そしてお約束の事件が起こった際ありきたりの犯人捜しかと思いきや、幾重にも謎が絡まっているのはさすが。犯人がわかった時よりも不可思議だった謎が解けた方がおお!そうか!とすっきりした。
そして当初からずっと引っ張ってきていた島にまつわる謎は・・・・。
う~ん。これをロマンと言ってしまえばそれまでなのだろうけれど、私はどこか納得できず、それを行う意味も価値もそれほど感じなかった。
ロマンと狂気は紙一重で、作家とファンの関係はまるで教祖と信者のようでとにかく違和感がある。
どれほど理屈を並べようと、どれほどその価値を滔々と語ろうと私はその計画は破綻すると確信してしまった。
人が踏み込んでいい領域と悪い領域があるとするならば、間違いなく後者だ。誰か一人でもそれを止められなかったのかと、これに関わる人すべてが不幸になる気がしてしまったのだ。
ただ私が有栖川有栖に求めるハードルがかなり高いので、どうしても点が辛くなる部分はあるだろう。
悪くはないが、どこかいいかと言われると困る。印象が薄く地味。
島にある民宿へのんびり旅行としゃれこんだつもりの火村とアリスだったが、ちょっとした手違いで別の島へと船はたどり着く。迎えの船はすぐには来ず、それまで滞在させてもらうことに。
そこはある有名な老作家とそれを囲むファンクラブのような人々の集まり。だがその挙動に不審なものを感じる火村とアリス。どうやら自分達は招かれざる客のようだ。そこに更に闖入者があらわれて・・・。
事件が起こるまでの時間が長く、孤島にいる面々は何かを隠しているのだということはわかるが、それが何か見えてこないことに不気味さを感じる。
キーワードから彼らはある実験を行おうとしているとは読み取れるのだが、それにしてはやり方が生ぬるく、え?そんな悠長なことでいいの?と思ってしまった。
ただ有栖川有栖は人物を描写するのがやはりうまいと感じた。特にそれほど個性的でない、いわゆる普通の人の輪郭をきちんと際立たせることに長けている。そのため最初はだだっと紹介されただけの登場人物が、話を読み進めるうちにするりと頭に入ってくるのだ。
火村とアリスの会話もよく、なんとなく感じる居心地の悪さと彼らとの距離感もよくわかる。
そしてお約束の事件が起こった際ありきたりの犯人捜しかと思いきや、幾重にも謎が絡まっているのはさすが。犯人がわかった時よりも不可思議だった謎が解けた方がおお!そうか!とすっきりした。
そして当初からずっと引っ張ってきていた島にまつわる謎は・・・・。
う~ん。これをロマンと言ってしまえばそれまでなのだろうけれど、私はどこか納得できず、それを行う意味も価値もそれほど感じなかった。
ロマンと狂気は紙一重で、作家とファンの関係はまるで教祖と信者のようでとにかく違和感がある。
どれほど理屈を並べようと、どれほどその価値を滔々と語ろうと私はその計画は破綻すると確信してしまった。
人が踏み込んでいい領域と悪い領域があるとするならば、間違いなく後者だ。誰か一人でもそれを止められなかったのかと、これに関わる人すべてが不幸になる気がしてしまったのだ。
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