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『水に眠る』~ゆらゆらと不思議で悲しい世界~



私が初めて出会った北村薫がこの本だ。
短編集なので、一話が短く読みやすい。すごくリアルな日常の話と思いきや、さらりと不思議な世界へ連れて行ってくれる。
表題作の「水に眠る」はとても切なく、主人公が最後バスタブでそっと試したことを私もやってみたくなったものだ。
全体的にしんみりと悲しい話が多いように思う。
そしてその悲しみを無理にやわらげようとせず、悲しいまま大切にしまいこむようなところがよいなと思った。
本を読む際は、はからずもこちらの意識も強く反映されるのではないか。
この作品をふり返って思うと、当時私はきっと淋しかったのだろう。
だからこそ、そんな私にひっそりとよりそってくれたこの本はとても大事な一冊だ。
なかでも「水に眠る」「くらげ」はお気に入り。
失恋した時にその悲しみを表にだせず無理に明るくふるまい、ひとりひっそりとお風呂場で泣くような人にぜひ読んでもらいたい。
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