いくつもの週末と本
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『ALONE TOGETHER』~そう言う君の本音はどうなのよ~
主人公柳瀬はある特殊能力がある。亡くなる直前父はそれを「呪い」と呼んだ。
他人に波長を合わせ、その本音を話させる能力。
そのしくみを知りたくて入った大学でも彼は答えを見つけられず中退してしまう。ある日通っていた大学の教授から呼び出された柳瀬は、彼からある少女を守ってやってほしいと頼まれる。
のっけから特殊能力ときたので、そちらが中心の話かと思えばそうでもなかったような・・・。
主人公柳瀬は優柔不断で人あたりがよく、ものごしや口調が丁寧でどことなく中性的な男性。現代ならば即「草食系男子だよね~」と言われそうなタイプ。
一応恋人と呼べる女性もいるわりに、相手に対しても非常に淡泊で浮世離れしている雰囲気。会話や主人公の口ぶりが村上春樹をほうふつさせるなと思いながら読んでいたら、どうも著者本田孝好は村上春樹ファンだったようである、納得。
冒頭から柳瀬が抱える業のようなものが全面にでているので、とにかく話が暗くなりがち。
文章が読みやすくさらさらと水が流れるようなのでそれほど重くは感じないが、その分重要な場面でもどこか真剣みに欠ける。
最初読んでいる時はそんなものかと思っていたが、数年たってから読み返すと柳瀬が21歳なのに驚く。ちょっと達観し過ぎてやしないか?
守ってほしいと教授に頼まれた少女立花サクラのキャラはよいが、他は柳瀬をはじめとしてどこか「いい子ちゃん」な雰囲気がただよっていて共感しにくいかった。
それにしても、主人公の特殊能力である「他人と波長をあわせ本音を話させる能力」によって心の奥底のどろどろをぶちまけた人々が、ことごとく不幸になっていくのはやりきれなかった。
なんのためにそれを言わせたのか、言わせてしまったのか。
それが彼らのためになると主人公が本気で思っていたのなら単なるバカだし、もしかしてうまくいかない可能性もあるとわかっていたのなら偽善だ。
そもそも人の本音なんてそんなにいいものじゃない。みな自分の中にあるエゴや悪意や弱さに薄々気がついてはいる。だがそれに直面できず、かといって消し去ることもできないからこそ、心の奥底にしまいなんとか日常を生きていけるのだ。
そこに土足で踏み込むような真似をするのなら、その人のそれからの人生をまるごと引き受ける覚悟でやってほしい。柳瀬にはその自覚がないように思えて少しイライラしてしまった。
他人に波長を合わせ、その本音を話させる能力。
そのしくみを知りたくて入った大学でも彼は答えを見つけられず中退してしまう。ある日通っていた大学の教授から呼び出された柳瀬は、彼からある少女を守ってやってほしいと頼まれる。
のっけから特殊能力ときたので、そちらが中心の話かと思えばそうでもなかったような・・・。
主人公柳瀬は優柔不断で人あたりがよく、ものごしや口調が丁寧でどことなく中性的な男性。現代ならば即「草食系男子だよね~」と言われそうなタイプ。
一応恋人と呼べる女性もいるわりに、相手に対しても非常に淡泊で浮世離れしている雰囲気。会話や主人公の口ぶりが村上春樹をほうふつさせるなと思いながら読んでいたら、どうも著者本田孝好は村上春樹ファンだったようである、納得。
冒頭から柳瀬が抱える業のようなものが全面にでているので、とにかく話が暗くなりがち。
文章が読みやすくさらさらと水が流れるようなのでそれほど重くは感じないが、その分重要な場面でもどこか真剣みに欠ける。
最初読んでいる時はそんなものかと思っていたが、数年たってから読み返すと柳瀬が21歳なのに驚く。ちょっと達観し過ぎてやしないか?
守ってほしいと教授に頼まれた少女立花サクラのキャラはよいが、他は柳瀬をはじめとしてどこか「いい子ちゃん」な雰囲気がただよっていて共感しにくいかった。
それにしても、主人公の特殊能力である「他人と波長をあわせ本音を話させる能力」によって心の奥底のどろどろをぶちまけた人々が、ことごとく不幸になっていくのはやりきれなかった。
なんのためにそれを言わせたのか、言わせてしまったのか。
それが彼らのためになると主人公が本気で思っていたのなら単なるバカだし、もしかしてうまくいかない可能性もあるとわかっていたのなら偽善だ。
そもそも人の本音なんてそんなにいいものじゃない。みな自分の中にあるエゴや悪意や弱さに薄々気がついてはいる。だがそれに直面できず、かといって消し去ることもできないからこそ、心の奥底にしまいなんとか日常を生きていけるのだ。
そこに土足で踏み込むような真似をするのなら、その人のそれからの人生をまるごと引き受ける覚悟でやってほしい。柳瀬にはその自覚がないように思えて少しイライラしてしまった。
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