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『麦酒の家の冒険』~安西先生・・・ビールが飲みたいです~



酒飲みの酒飲みによる酒飲みのための本である。
これにオススメマークを二つもつけたのは、ひとえに私も酒好きだからだ。
タック&タカチシリーズの長編第二弾。
しょっぱなから余談だが、私はこの~シリーズというのは基本主人公の名前もしくは所属なり地名なりをシンプルにというのが原則だと思う。その点ではこのタック&タカチのネーミングは他と比較しておかしくはないのだろうが、なんとなく違和感というか背中がむずむずするというか、誰かに紹介する時に少し赤面してしまう。
名前がそのままでなくあだ名だからなのと、それが二人も重なっていることが原因なんだろうな。
シンプルに「匠千暁シリーズ」や「安槻市シリーズ」だったらよかったのに。
話は安槻大学に通う仲良し四人、タック・タカチ・ウサコ・ボアン先輩が高原へドライブにでかけたことから始まる。不思議なあだ名の由来は本シリーズを読んでもらうこととして、一応断っておくとタックとボアン先輩は男、タカチとウサコは女である。
リア充○○はおいとくとして、その帰りに四人は山道の迂回路を通らされているうち道に迷いガス欠となり、ぽつんとあった一軒の家に助けを求める。
だがそこはパッと見空き家のようで1階に家具は一切無く、2階にはベッドと隠されたように置いてある冷蔵庫、中には冷えたジョッキ13個とエビスビールが96本入っていた・・・。
人の家にずうずうしくもあがりこみ、勝手にビールをいただきながら呑気に推理するというのは言語道断なのだろうが、私は読んでいて思いっきり笑ってしまった。
酒飲みの四人がついふらふらと冷えたジョッキを手に取り、エビスビールのロング缶をぷしゅっと開けてしまう。「おいこら」と止めつつも、目の前でごくごくのどを鳴らしてうまそうにぷはーとやられた日には理性もふっとぶよなぁ。
飲みながらああでもないこうでもないと推理合戦をする様はまさに安楽椅子探偵そのもの。ただ基本酔っ払いなので、無理のある展開に別の誰かが突っ込むのはお約束だ。
延々とビールを飲む描写が続くのだが、これが本当においしそうなのだ。
しかもエビスでロング缶、お高いそれが96本もあって飲み放題なんて!リア充よりなによりそれがうらやましい。
なぜ家具も何もない家にベッドとビールの詰まった冷蔵庫だけがあるのかは一応後日解決がつくのだが、それより何よりビールを飲む場面がメインとしか思えない本である。
もしお酒が好きでふところに余裕があるのならば、ぜひエビスのロング缶をたっぷり用意して飲みながら読んで欲しい。
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