いくつもの週末と本
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『三月は深き紅の淵を』~ある一冊の本をとりまくメタミステリ~
一応ミステリなのだろうが、そうじゃないような、でもやっぱりミステリなんだろうなぁという本。
第四章から成り立っており、それぞれが全く異なる話でありながら「三月は深き紅の淵を」という本が共通して登場するメタな小説ともいえる。
様々な角度から作者は「三月は深き紅の淵を」という本を描き、ある時は登場人物にいかにすばらしい本かを語らせ、ある時はどうやら四章からなる本らしいとにおわせ、ある時は男女四人が旅をする物語だと内容にふれる。
読んでいくうちに「三月は深き紅の淵を」というのは自分が読んでいる目の前にあるこの本なのか、文中にしかない想像上の本なのか、別に出版されているどこかに存在する本なのか次第にあいまいになってくる。
そしてこれこそが作者の意図するところなのかなとも思うのである。
文中にしつこいくらい本に対する思いが語られ、これが著者の本に対する気持ちなのだなぁとうかがえる。やや偏った思考ではあるが、うんうんそうだなとうなずける面もあり自分が誰かに対して好きな本を語っている姿はきっとこんな風なのだろうとも思う。
なんとなく最後が尻切れで、もやもやとした気持ちが残るが、それでも読んでいる最中はまぎれもなく楽しんでいたわけで損をした気分にはならない。
ただ、これだけだとやはり「なんかよくわからないけど、中途半端」という感想になりがちなので、ぜひ恩田陸の別の本『黒と茶の幻想』『麦の海に沈む果実』も読んでみてほしい。
独特の世界観が感じられるのではないかと思う。
第四章から成り立っており、それぞれが全く異なる話でありながら「三月は深き紅の淵を」という本が共通して登場するメタな小説ともいえる。
様々な角度から作者は「三月は深き紅の淵を」という本を描き、ある時は登場人物にいかにすばらしい本かを語らせ、ある時はどうやら四章からなる本らしいとにおわせ、ある時は男女四人が旅をする物語だと内容にふれる。
読んでいくうちに「三月は深き紅の淵を」というのは自分が読んでいる目の前にあるこの本なのか、文中にしかない想像上の本なのか、別に出版されているどこかに存在する本なのか次第にあいまいになってくる。
そしてこれこそが作者の意図するところなのかなとも思うのである。
文中にしつこいくらい本に対する思いが語られ、これが著者の本に対する気持ちなのだなぁとうかがえる。やや偏った思考ではあるが、うんうんそうだなとうなずける面もあり自分が誰かに対して好きな本を語っている姿はきっとこんな風なのだろうとも思う。
なんとなく最後が尻切れで、もやもやとした気持ちが残るが、それでも読んでいる最中はまぎれもなく楽しんでいたわけで損をした気分にはならない。
ただ、これだけだとやはり「なんかよくわからないけど、中途半端」という感想になりがちなので、ぜひ恩田陸の別の本『黒と茶の幻想』『麦の海に沈む果実』も読んでみてほしい。
独特の世界観が感じられるのではないかと思う。
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