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『殺人犯はそこにいる』のルパンのはなしをしよう
これは『殺人犯はそこにいる』~隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件の追記であり蛇足でありネタバレを含みます。こちらを先に目にした方は、ぜひそちらを先にお読み下さい。
蛇足なのは百も承知で、本を読み私なりに「真犯人であるルパン似の犯人像」を思い描いてみた。
とはいっても本では著者清水潔が直接ルパンに取材を試みており、極秘にDNA型鑑定まで行い一致させているのだから何をか言わんや。
既にルパンは特定されている。だがそれでも私が気になったのは「なぜ、清水潔はルパンにたどりつけたのか?」この一点だ。それは彼にしかできなかったのか、それともDNA型鑑定という当時は画期的な今となってはまやかしに飛びつきさえしなければ、いずれ捜査当局もたどり着けた結果だったのか……。
あくまで私が思い描く犯人像は本をベースにし、そこから拾い上げられるだけのものである。
本文では直接ルパン(真犯人)個人を特定できる箇所はないが、事件の犯人の共通項は載せられている。
だがこれに更なる特徴を重ね絞り込むことは可能だ。ここからは本文を元にした私による肉付けだ。
【ルパンは第一の事件が発生した1984年から本が発行された2013年まで同一場所もしくは同一圏内に住み続けている】
本書で清水潔が栃木と群馬の越境を行き来し、パチンコ店をしらみつぶしに廻り聞き込みをするシーンがある。もしルパンが横山ゆかりちゃん誘拐の96年以降その土地を離れていたら、ここで証言が出てくるはずはない。
そして著書は何よりこのノンフィクションを犯人と知らずその周囲に住み続けている人達への警告として出版している。もしルパンが土地を離れ遠く引っ越していたならば、必ずその情報をのせたはずだ。なぜならもしルパンが新天地で生活を始めた場合、類似事件がそこで起こる可能性が高くなるのだから。
同じ理由でルパンが既に死亡している可能性も排除される。著者は2015年の現在もこの事件を追い続け、その捜査を訴えている。被疑者死亡により取り逃がした悔しさは微塵も感じない。
【ルパンは警察関係者やこの事件に関わる司法関係者、それらにごく近い身内ではない人物】
これには若干希望的観測も含まれているが、あってもルパンが関係者のかなり遠縁という可能性くらいで、捜査に直接影響を及ぼすほど近い存在ではないと推測される。本ではしきりに再捜査がされないことの懸念として科捜研の調査が直接間接的に示唆されている。
逆にルパンの存在を警察上層部に知らせる際、管家さん逮捕やDNA型鑑定の件以外で顔が曇るような描写はなかった。もし警察が二の足を踏む要素が他にがあれば著者は書いたのではないか。当時疑わしき人物がいたにも関わらず、それが関係者によりもみ消されたとしたらそこをつかない訳がない。消去法からの推測だがこれはあながち間違ってないのではないか。
【ルパンは足利事件前後、不審者として事案の情報が出ている人物である】
私が本を読み一番引っかかったのがこの部分である。
なのに、わずかな資料からルパンへたどりついた。同時にその資料は松田真実ちゃん事件を捜査していた警察が、冤罪の管家さんではなく真犯人にたどりつけなかった資料でもある。
なぜか。それは時期がずれていたからではないか?
声かけ事案というものがある。どこどこの小学校付近で不審な人物が子供に声をかけた。自転車で通りすがりに呼び止められた等々。日々の暮らしの中、膨大な数の事案が事件の予兆として報告されそして淘汰されてゆく。中にはたかがあいさつをしたくらいで事案になるのかといったような間違いも含まれるが、それらの情報が共有されることで犯行を未然に防ぐこともあるだろう。
足利事件で管家さんが容疑者候補にあがってから、もしくは逮捕されてからこの不審者事案があったらどうするだろう?おそらく数ある事案の中の一つとして処理され、まさか連続幼女誘拐事件の真犯人のものとは思わないのではないだろうか?
ルパンは5人もの幼女を連れ去り殺害、誘拐を行った。だが被害者は果たして5人だけなのか?事件にもならず未遂で終わった、幼女やその家族自身も「未遂事件とも認識していない」事案が存在したのではないか?
これだけの近距離において数年間隔で事件を起こした犯人が、事件以外で全くその痕跡をのこしていないなんてことはないだろう。連続事件としてとらえれば、もっと長いスパンで不審者情報を洗っていれば、警察ももっと早くルパンにたどり着けていたのではないだろうか……。
そしてDNA型鑑定へのこだわりを捨てることさえできれば、そのために犯した過ちを認めることさえできれば、真犯人の逮捕は案外たやすいのではないか。そう思えてならない。
蛇足なのは百も承知で、本を読み私なりに「真犯人であるルパン似の犯人像」を思い描いてみた。
とはいっても本では著者清水潔が直接ルパンに取材を試みており、極秘にDNA型鑑定まで行い一致させているのだから何をか言わんや。
既にルパンは特定されている。だがそれでも私が気になったのは「なぜ、清水潔はルパンにたどりつけたのか?」この一点だ。それは彼にしかできなかったのか、それともDNA型鑑定という当時は画期的な今となってはまやかしに飛びつきさえしなければ、いずれ捜査当局もたどり着けた結果だったのか……。
あくまで私が思い描く犯人像は本をベースにし、そこから拾い上げられるだけのものである。
本文では直接ルパン(真犯人)個人を特定できる箇所はないが、事件の犯人の共通項は載せられている。
これらはおそらく事件の概要や防犯カメラから導き出されたもので、現場の10キロ圏内、その周囲の生活圏を含めるとこの特徴に当てはまる男性がどのくらいいるのかはちょっと見当がつかない。・足利市と太田市に土地勘があり、タバコを吸い、休日にパチンコ店に通う男
・身長156~160センチ前後で、幼い女の子に泣かれたりせず上手に会話が交わせること
・血液型B型
・事件発生年から推定される年齢は、現在50歳前後か
だがこれに更なる特徴を重ね絞り込むことは可能だ。ここからは本文を元にした私による肉付けだ。
【ルパンは第一の事件が発生した1984年から本が発行された2013年まで同一場所もしくは同一圏内に住み続けている】
本書で清水潔が栃木と群馬の越境を行き来し、パチンコ店をしらみつぶしに廻り聞き込みをするシーンがある。もしルパンが横山ゆかりちゃん誘拐の96年以降その土地を離れていたら、ここで証言が出てくるはずはない。
そして著書は何よりこのノンフィクションを犯人と知らずその周囲に住み続けている人達への警告として出版している。もしルパンが土地を離れ遠く引っ越していたならば、必ずその情報をのせたはずだ。なぜならもしルパンが新天地で生活を始めた場合、類似事件がそこで起こる可能性が高くなるのだから。
同じ理由でルパンが既に死亡している可能性も排除される。著者は2015年の現在もこの事件を追い続け、その捜査を訴えている。被疑者死亡により取り逃がした悔しさは微塵も感じない。
【ルパンは警察関係者やこの事件に関わる司法関係者、それらにごく近い身内ではない人物】
これには若干希望的観測も含まれているが、あってもルパンが関係者のかなり遠縁という可能性くらいで、捜査に直接影響を及ぼすほど近い存在ではないと推測される。本ではしきりに再捜査がされないことの懸念として科捜研の調査が直接間接的に示唆されている。
逆にルパンの存在を警察上層部に知らせる際、管家さん逮捕やDNA型鑑定の件以外で顔が曇るような描写はなかった。もし警察が二の足を踏む要素が他にがあれば著者は書いたのではないか。当時疑わしき人物がいたにも関わらず、それが関係者によりもみ消されたとしたらそこをつかない訳がない。消去法からの推測だがこれはあながち間違ってないのではないか。
【ルパンは足利事件前後、不審者として事案の情報が出ている人物である】
私が本を読み一番引っかかったのがこの部分である。
ここから著者清水潔は一気に現場へと飛び込む。裏を返せばこの時点ではまだ現場への取材も目撃者への質問もなされていない。捜査資料や報道資料などから状況を探っていた段階なのである。「事件を調べだしてから二週間目のことだった。私は奇妙な事実に突き当たっていた」「私はその資料を開くと、その意味するところに気づき、固まった」「そこから立ち上がるのは一人の男の影-ある「推論」が私の脳を直撃する」
なのに、わずかな資料からルパンへたどりついた。同時にその資料は松田真実ちゃん事件を捜査していた警察が、冤罪の管家さんではなく真犯人にたどりつけなかった資料でもある。
なぜか。それは時期がずれていたからではないか?
声かけ事案というものがある。どこどこの小学校付近で不審な人物が子供に声をかけた。自転車で通りすがりに呼び止められた等々。日々の暮らしの中、膨大な数の事案が事件の予兆として報告されそして淘汰されてゆく。中にはたかがあいさつをしたくらいで事案になるのかといったような間違いも含まれるが、それらの情報が共有されることで犯行を未然に防ぐこともあるだろう。
足利事件で管家さんが容疑者候補にあがってから、もしくは逮捕されてからこの不審者事案があったらどうするだろう?おそらく数ある事案の中の一つとして処理され、まさか連続幼女誘拐事件の真犯人のものとは思わないのではないだろうか?
ルパンは5人もの幼女を連れ去り殺害、誘拐を行った。だが被害者は果たして5人だけなのか?事件にもならず未遂で終わった、幼女やその家族自身も「未遂事件とも認識していない」事案が存在したのではないか?
これだけの近距離において数年間隔で事件を起こした犯人が、事件以外で全くその痕跡をのこしていないなんてことはないだろう。連続事件としてとらえれば、もっと長いスパンで不審者情報を洗っていれば、警察ももっと早くルパンにたどり着けていたのではないだろうか……。
そしてDNA型鑑定へのこだわりを捨てることさえできれば、そのために犯した過ちを認めることさえできれば、真犯人の逮捕は案外たやすいのではないか。そう思えてならない。
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