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『猫島ハウスの騒動』~笑えかつ小気味よい。毒をも喰らわば本まで~



『ヴィラ・マグノリアの殺人』や『古書店アゼリアの死体』に続く、架空都市葉崎市を舞台にしたコージーミステリ。
今回の舞台は猫島。
わずかな人口30人に対して猫の数がものすごく、総勢100匹。「猫の楽園」と紹介され一躍観光スポットとなっている。
あっちを向いても猫、こっちを向いても猫。
若さ溢れる虎鉄が夏の熱気にまかせ女をナンパし、ごにょごにょを楽しもうと岩陰に行くと、なんとそこにはナイフの刺さった死体が・・・。
著者お得意の食えない登場人物達も健在。
『ヴィラ・マグノリアの殺人』でも活躍した双子が成長して登場するあたり、しみじみと時間の流れを感じる。
ただ話そのものは独立しているので、今までの物語を読んでいなくとも充分楽しめる。
今までを読んでいると「ああ、懐かしい」とさらに楽しめるというくらいだ。
田舎の島が猫を名所として観光客が増えたものだからさあ大変。
「働きたくないでござる」を地でいっている七瀬巡査。非番なのに仕事をするはめになってしまった猫嫌いの駒持警部補。
民宿猫島ハウスで夏場だけ店番をする高校生の響子。
幼なじみの虎鉄と修学旅行で何かがあったらしく怒っているのだが、二人ががんとして口をつぐんでいるため何があったのかはさっぱりわからず。
他にもすぐさぼろうとするパートの主婦や、慇懃無礼な保養所の支配人、家のリフォームに夢中なイラストレーターなど個性的な面々が彩りを添える。
著者お得意の「気を張らず笑いながら楽しめるミステリ」
だが、人物描写にちくりと潜む毒や一筋縄ではいかないキャラクタ達が、この話を単純で軽いだけのものではなくしている。
辛口大好きな人にこそよりおすすめだ。
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