いくつもの週末と本
大好きな作家や本、おすすめの小説の感想などを気ままに書きたい時に書きたいだけ
サマーウォーズ〜奇跡になりそこねたご都合主義〜
(注)この感想は13年7月当時に書いたもので、今この映画について書くならばもう少し違った視点を切り口にするだろうなと思う。だが自分で書いたのさえ忘れていた感想を読み返すと懐かしく、ああこの時私はこの部分に憤りを抱いていたのだなと再確認したのであえて書き直さずそのまま紹介することにした。
私は小説でも実際でも他人の物語が好きなのだが、あくまで「他人の」が先行しないと嫌なのだ。「物語の」ために存在する他人ではダメで、そんなものは無価値どころかくそくらえと思っている。
〜以下感想
嫌いなタイプのご都合主義、それが第一印象だった。
たとえ予定調和であっても、物語に入り込んで観ていると案外気がつかなかったり、その展開こそ「奇跡だ」となる場合もあるだろう。
それがそう思えず引っかかるというのは、それだけ入り込めていない、魅力に乏しいということだ。
何らかの創作でキャラが立っているかどうかいつも気になるのが、小説でも芝居でも映画でも漫画でも「どうやってその人物を描写しているのか?」だ。
美少女を表現するのに、漫画は画力があれば一発だが他の媒体はそうはいかない。小説ならその美少女っぷりを描写しなくてはならない。
ではお金持ちなら?
漫画でもさすがに札束をたくさんかけばいいというわけではなくなってくる。何を持って金持ちとするか、それが表現者の腕の見せ所だろう。
では、才能は?人気は?クールなようで情に厚いなどは?
それらを表現するために必要なのが個々のエピソードであり、それらの集合体でその人となりが垣間見えてくるものだ。逆ににそれらがないと、薄っぺらい人間となってしまう。
サマーウォーズはまさにその薄っぺらさが透けており、そこが私が入り込めない最たる理由だった。
「数学の天才」「学校一人気の少女」「偉大な祖母」
これらを表現するのに、なんと一人の説明で終わらせてしまう
「あの子は数学の天才なんだよ」「先輩は学校一人気なんだ」
「ばぁちゃんはとにかく偉大でな」
どのような天才なのか、どんな風に人気があるのか、何が偉大なのかは一つも伝わってこない。
ただそう言い切られてしまうと、はいそうですかとしか答えようがない。
そんな気持ち悪さを感じた。
他にも田舎の人間は情に厚くコミュニティが機能しまとまりがある、というようなステレオタイプも随所に見られる。都会に憧れる人は都会の実情を知らず、田舎を礼賛する人ほど田舎の現実を知らない。作者の田舎に対するステレオタイプは「おおかみこどもの雨と雪」にも色濃く表れていて、その一点だけでも同作を私が観たいと思わない理由だ。
私は小説でも実際でも他人の物語が好きなのだが、あくまで「他人の」が先行しないと嫌なのだ。「物語の」ために存在する他人ではダメで、そんなものは無価値どころかくそくらえと思っている。
〜以下感想
嫌いなタイプのご都合主義、それが第一印象だった。
たとえ予定調和であっても、物語に入り込んで観ていると案外気がつかなかったり、その展開こそ「奇跡だ」となる場合もあるだろう。
それがそう思えず引っかかるというのは、それだけ入り込めていない、魅力に乏しいということだ。
何らかの創作でキャラが立っているかどうかいつも気になるのが、小説でも芝居でも映画でも漫画でも「どうやってその人物を描写しているのか?」だ。
美少女を表現するのに、漫画は画力があれば一発だが他の媒体はそうはいかない。小説ならその美少女っぷりを描写しなくてはならない。
ではお金持ちなら?
漫画でもさすがに札束をたくさんかけばいいというわけではなくなってくる。何を持って金持ちとするか、それが表現者の腕の見せ所だろう。
では、才能は?人気は?クールなようで情に厚いなどは?
それらを表現するために必要なのが個々のエピソードであり、それらの集合体でその人となりが垣間見えてくるものだ。逆ににそれらがないと、薄っぺらい人間となってしまう。
サマーウォーズはまさにその薄っぺらさが透けており、そこが私が入り込めない最たる理由だった。
「数学の天才」「学校一人気の少女」「偉大な祖母」
これらを表現するのに、なんと一人の説明で終わらせてしまう
「あの子は数学の天才なんだよ」「先輩は学校一人気なんだ」
「ばぁちゃんはとにかく偉大でな」
どのような天才なのか、どんな風に人気があるのか、何が偉大なのかは一つも伝わってこない。
ただそう言い切られてしまうと、はいそうですかとしか答えようがない。
そんな気持ち悪さを感じた。
他にも田舎の人間は情に厚くコミュニティが機能しまとまりがある、というようなステレオタイプも随所に見られる。都会に憧れる人は都会の実情を知らず、田舎を礼賛する人ほど田舎の現実を知らない。作者の田舎に対するステレオタイプは「おおかみこどもの雨と雪」にも色濃く表れていて、その一点だけでも同作を私が観たいと思わない理由だ。
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