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『リピート』~うまい話には裏があるという話のさらに裏~


のっけからなんだが、表紙にはすっかり騙された。
そんなかわいらしい、爽やかな話ではまったくないので念のため。
主人公圭介は大学四年生。ある日アパートに見知らぬ男性から突然電話がかかってきた。
「今から一時間後の午後五時四十五分に地震が起きます。」
てっきりいたずらだと思っていたら本当にその通り地震が起き、驚く圭介の元にもう一度さっきの男性から電話が。
なんと彼は過去に戻ることができ、それに圭介も一緒に参加しないかというお誘いだったのだ・・・。
タイムリープものを取り扱ったSFというのは数多く存在しており、これは肉体はそのまま意識だけ過去に飛ぶといったもの。しかも記憶をもったままで。
ただし過去の期日は選べず10ヶ月前、過去というには微妙に短い。
はたしてこの時間旅行を行うメリットは?というところがポイント。
主人公を時間旅行いわばリピートに誘う謎の男性風間は、過去何度もリピートに成功しており、今回初めて他の参加者も誘ったとのこと。
彼らが一堂に会する説明会のくだりや、それぞれの風貌考え方がかなり細かく描写されている。
人によってはリピートするまでが長い!と思うかもしれないが(私もちょっと思った)風間の正体やその目的、詐欺ではないか検討する部分は、圭介と同様にこちらも色々と考えつつリピートに対する想像が膨らむためあまり気にならなかった。
逆に実際リピートが起こってからがやや急な展開だったかなと思う。
圭介を始めとしてリピートをした面々は、自分がリピートを行ったことを知っている。だが周りはまったくそれに気がつかずにいる。
その状態でリピートを行った人に次々と起こる不審な出来事。
前半が不思議なSFとすると、後半は一気にミステリ色が強くなる。
ラストはやや唐突であれでよかったのかもやもやは残るが、途中で判明する謎の解決はすっきりした。
前作『イニシエーション・ラブ』よりも私は断然こちらが好みだ。
そして主人公の圭介だが、なぜこんな設定にしたのだろう?
作者はどうも「普通の大学生」が嫌いなのか?と思えるほど、特に本編に関係あるとは思えない余計な部分がくっついているのだが。
ものすごく鼻につくしいけ好かないと感じるのは私だけだろうか。
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『イニシエーション・ラブ』~私はトレンディな恋愛ドラマが嫌いです~
《第一章》
主人公鈴木は大学4年生。
人数あわせで呼ばれた合コンで繭子と出会う。様々なできごとがあり、繭子と付き合うことになった主人公、だが彼は東京での内定をもらっていた・・・。
《第二章》
彼女のために就職が決まっていた東京の大企業を蹴って地元に就職した鈴木。
だが突然東京への転勤が決まってしまった。
恋人の繭子とも遠距離恋愛となってしまい、いつしか二人の心はすれ違って・・・。
なんだこのかったるい恋愛小説は!?と読みながら何度思ったことか。
しかもかなりつまらない部類の。
え?これってミステリだよね?帯には確かに「必ず二回読みたくなる」と書いてある本だよね?と思いながら、それだけを頼りに読み進めて、そしてラスト。
は~~~~~~~~~ぁっと深いため息。
以下ネタバレ含む感想となっているので、未読の人は注意。
興味のある人は反転させて読んでね。
繭子という女性はけっこう同性から見て痛いというか、一見おとなしそうに見えて計算高いなと感じるのだが、早い段階であれ?これっておそらく主人公の僕は二股をかけられてるよね?と思わせる描写がある。まず不自然なあだ名で呼ぶこと。いくらなんでもあの名前から「タッくん」は無理がある。
主人公はあまりにも純朴で、恋愛慣れしておらず、その分こちらばかりがイライラしてしまう。
だからこそ第二章になった途端に「これってあまりにも性格が違うよね?」「名字が同じだけで別人じゃね?」とすぐに気がついてしまう。たとえ気がつかなくとも違和感は感じるのではないか。
そして一応ラストでネタバレというか、物語の全貌が明らかになるのだが・・・。
うすうす気がついている人は「ふ~ん」で終わり、全く気がつかなかった人は一瞬「えっ?」とはなるが、果たして二回読み返したくなるだろうか?と疑問。
だってトリックはさておき、あまりにも本編がつまらないんだもの。
伏線回収どころかもう一度読むのはとてつもない苦痛でしかない。
トリックをみやぶられないためか本編で語られる恋愛模様がなんせチープ過ぎて、それを我慢して我慢して「きっとここからおもしろくなるはず」と読み続けた労力に見合うトリックを期待してしまい、その分肩すかしをくらってしまったのだろう。
バブルの頃もてはやされた恋愛を忠実になぞることで揶揄しているのだろうが、それが成功しているとは言い難い。
逆に時代に合わせた恋愛小説にして、主軸となる繭子をもっと好感がもてる女性にすれば最後に繭子がふられてしまっても、ああこれで真面目なほうのタッくんと幸せになるのねよかったねと思えるのになあ。
色々残念だ。
主人公鈴木は大学4年生。
人数あわせで呼ばれた合コンで繭子と出会う。様々なできごとがあり、繭子と付き合うことになった主人公、だが彼は東京での内定をもらっていた・・・。
《第二章》
彼女のために就職が決まっていた東京の大企業を蹴って地元に就職した鈴木。
だが突然東京への転勤が決まってしまった。
恋人の繭子とも遠距離恋愛となってしまい、いつしか二人の心はすれ違って・・・。
なんだこのかったるい恋愛小説は!?と読みながら何度思ったことか。
しかもかなりつまらない部類の。
え?これってミステリだよね?帯には確かに「必ず二回読みたくなる」と書いてある本だよね?と思いながら、それだけを頼りに読み進めて、そしてラスト。
は~~~~~~~~~ぁっと深いため息。
以下ネタバレ含む感想となっているので、未読の人は注意。
興味のある人は反転させて読んでね。
繭子という女性はけっこう同性から見て痛いというか、一見おとなしそうに見えて計算高いなと感じるのだが、早い段階であれ?これっておそらく主人公の僕は二股をかけられてるよね?と思わせる描写がある。まず不自然なあだ名で呼ぶこと。いくらなんでもあの名前から「タッくん」は無理がある。
主人公はあまりにも純朴で、恋愛慣れしておらず、その分こちらばかりがイライラしてしまう。
だからこそ第二章になった途端に「これってあまりにも性格が違うよね?」「名字が同じだけで別人じゃね?」とすぐに気がついてしまう。たとえ気がつかなくとも違和感は感じるのではないか。
そして一応ラストでネタバレというか、物語の全貌が明らかになるのだが・・・。
うすうす気がついている人は「ふ~ん」で終わり、全く気がつかなかった人は一瞬「えっ?」とはなるが、果たして二回読み返したくなるだろうか?と疑問。
だってトリックはさておき、あまりにも本編がつまらないんだもの。
伏線回収どころかもう一度読むのはとてつもない苦痛でしかない。
トリックをみやぶられないためか本編で語られる恋愛模様がなんせチープ過ぎて、それを我慢して我慢して「きっとここからおもしろくなるはず」と読み続けた労力に見合うトリックを期待してしまい、その分肩すかしをくらってしまったのだろう。
バブルの頃もてはやされた恋愛を忠実になぞることで揶揄しているのだろうが、それが成功しているとは言い難い。
逆に時代に合わせた恋愛小説にして、主軸となる繭子をもっと好感がもてる女性にすれば最後に繭子がふられてしまっても、ああこれで真面目なほうのタッくんと幸せになるのねよかったねと思えるのになあ。
色々残念だ。
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